国内

朝日の吉田調書報道「なぜここまで日本人貶めるのか」と作家

 海外メディアは朝日新聞について、「日本のクオリティ・ペーパー」といった形容をよく用いる。しかし、その“高級紙”が、国家国民の尊厳や矜恃を毀損しかねない「虚報」を重ねているとしたら、日本人にとって“悪い冗談”では済まされないだろう。
 
 2011年3月15日、福島第一原発。吉田昌郎所長と所員たちは、日本の運命を左右する“際”にいた。その彼らについて、朝日は「所長命令に違反 原発撤退」「福島第一 所員の9割」と書いた。生前の吉田所長に唯一インタビューしたジャーナリスト・門田隆将氏は、週刊ポスト誌上で朝日報道を子細に検証した。その冒頭部分を紹介する。

 * * *
〈2011年、命令にも関わらず、パニックに陥った作業員たちは福島原発から逃げ去っていた〉(米・ニューヨークタイムズ)
〈福島原発の作業員は危機のさなかに逃げ去った〉(英・BBC)
〈福島原発事故は“日本版 セウォル号”だった! “職員90%が無断脱出…初期対応できず”〉(韓国・エコノミックレビュー)
〈日本版セウォル号…福島事故時に職員ら命令無視して原発から脱出〉(韓国・国民日報)……

 今、世界中で「実は、日本人は福島第一原発から逃げ出していた」という記事が掲載されているのをご存じだろうか。

 韓国のフェリー「セウォル号」の船長が真っ先に逃げ出していたことに驚愕した世界のメディアが、今度はあの福島第一原発事故の時、日本人も「逃げ出していた」という報道をおこなっているのだ。

 それは、朝日新聞が5月20日から始めた「吉田調書」キャンペーン記事による。朝日新聞が、政府事故調が28時間にわたって聴き取りをおこなった「吉田調書」なるものを入手し、

「福島第一原発(1F)の現場の人間の9割が所長命令に違反して撤退した」

 という大キャンペーンを始め、この記事の中身を世界中が報じているのである。

 しかし、肝心の当の朝日新聞の記事には、調書の中で「自分の命令」に違反して「職員の9割」が「福島第二原発に逃げた」という吉田氏の発言はどこにも存在しない。つまり、〈日本版セウォル号…福島事故時に職員ら命令無視して原発から脱出〉という“根拠”がないのである。

「なぜここまで日本人を貶めなければならないのか」

 私は、朝日新聞の「吉田調書」キャンペーン記事を目の当たりにして、ただただ溜息をついている。

関連記事

トピックス

吉本新喜劇の顔として活躍する島田珠代さん(撮影/井上たろう)
【吉本新喜劇の顔】島田珠代(54)が明かす「パンティーテックス」誕生秘話 「私のギャグは下品とは思っていない」「少女漫画のヒロインのように」の思い
NEWSポストセブン
登録者数80万人を超えるYouTubeチャンネル「みつともチャンネル」を運営する妻の幸巴さんと夫の光雄さん
《YouTuber年の差夫婦「みつともチャンネル」》“推し”の高校生アイドルとバツイチ男性が交際・結婚…妊娠した妻が振り返る「出会い」
NEWSポストセブン
NHK・東京アナウンス室の中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《裸に見える服》NHK中川安奈アナ、インスタ再開で見えた「フリーへの布石」突如出現したピンクのハートマーク
NEWSポストセブン
2
《2010年NHK紅白で『トイレの神様』熱唱の植村花菜》フルで9分52秒の名曲が7分50秒に縮小された理由「すべて歌えないのなら出場できなくても」
NEWSポストセブン
1986年 紅白歌合戦に急遽代打で出演した際の記者会見(時事通信フォト)
《布川敏和が語った還暦で『シブがき隊』再結成》解隊から36年「決定権はもっくんが握っている」「やっくんは同じ思い」の熱烈ラブコール
NEWSポストセブン
(写真提供/宮内庁)
〈伝統破りの経緯を宮内庁は説明せよ!〉とSNSで批判 秋篠宮一家が「半蔵門」を使用することは“不当行為”なのか 宮内庁は“問題ナシ”と回答
NEWSポストセブン
3人組「シブがき隊」もそのひと組。1988年に解散(解隊)後、俳優、タレントとして活動する布川敏和さん
《中森明菜が六本木のディスコで意外なおねだり》「元シブがき隊」布川敏和が告白「18歳で初めて助手席に乗せたのは小泉今日子ちゃん」、“花の82年組”の意外な距離感
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【人生最後の取材】中山美穂さんが見せた孤独感…子育てのためにパリで引退決意も慰留「当初は会えていた」「離れていった母と子の心」創業事務所社長が明かす数々の恋愛と結婚生活
NEWSポストセブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平は「終わっていない」と言及》水原一平被告が迎える「一変したバースデー」“病気”で量刑言い渡しが延期中、真美子さんと交流あった妻は「絶対的味方」として付き添い
NEWSポストセブン
第1子妊娠を報告した大谷翔平と真美子夫人(時事通信フォト)
《真美子さんの前に『お〜いお茶』が…》大谷翔平が公開したエコー写真の米国事情、夫婦がシーズン中に見せていた“異変”「超速帰宅」「違う飲み物を口にして」
NEWSポストセブン
六代目山口組の餅つきに密着した
《六代目山口組の恒例行事・餅つき》「来いって言ってんだろ!アホんだら!」山口組“八代目”候補が声を荒らげた…「緊迫の一瞬」 PCR検査必須の厳戒態勢
NEWSポストセブン
自宅で亡くなった中山美穂さん
《『もう辞めたい』『私にはできない』中山美穂が泣いた日》14歳から39年見続けた“芸能界の父”が明かした素顔、「棺で眠る美穂はきれいでした」最期の別れ
NEWSポストセブン